「この子の頑固なところ、私にそっくり…」「なんでこんなに育て方が同じなのに、上の子と下の子でこんなに性格が違うんだろう?」
「私ってなんでこんなキレやすいんだろう?」「なぜあのママ友はあんなに穏やかなんだろう?」
お子さんを育てていると、お子さんの性格やご自身の性格について、こんなふうに感じたことはありませんか?
性格や気質って、いったいどこからくるんでしょう。遺伝なの?育て方なの?それとも…?
今回は、「遺伝と環境が気質に与える影響」について、心理学や行動遺伝学の知識も交えながら紹介したいと思います。
【この記事でわかること】
- 「気質」と「性格」はどう違うのか
- 遺伝が性格に与える影響はどのくらいか
- 環境が気質をどう形作るのか
- 「生まれつきの気質」を知ることで育児がラクになる理由
そもそも「気質」と「性格」の違いって?
まず、「気質」と「性格」という言葉、なんとなく同じように使っていませんか?実は、心理学の世界ではこの2つは少し区別されています。
気質とは
気質とは、生まれつき持っている感情や行動の傾向のことです。「生まれながらの個性」とも言えます。たとえば、「刺激に敏感か鈍感か」「新しいものに積極的か慎重か」「感情の波が大きいか小さいか」といったことが気質にあたります。
赤ちゃんの頃からすでに個性がある、と感じたことはありませんか?あれはまさに気質が現れているんです。
性格とは
性格とは、気質をベースに、その後の環境や経験が加わって形成されるものです。つまり、気質という「土台」の上に、育ってきた環境・親との関係・友人関係・さまざまな経験が積み重なって、その人固有の「性格」ができあがっていくイメージです。
まとめるとこんな感じです。
| 気質 | 性格 | |
|---|---|---|
| いつ決まる? | 生まれつき | 経験・環境によって形成 |
| 変わる? | 変わりにくい | 経験によって変わりうる |
| 何が影響する? | 主に遺伝 | 遺伝+環境の両方 |
性格・気質への遺伝の影響はどのくらい?
「じゃあ、遺伝ってどのくらい性格に影響するの?」と気になりますよね。
行動遺伝学という分野の研究では、性格や気質への遺伝の影響は、およそ40〜60%と言われています。
「え、半分も遺伝なの?!」と驚いた方もいるかもしれません。
でも逆に言えば、残りの40〜60%は環境の影響ということでもあります。遺伝がすべてを決めるわけではないんです。
性格や気質の遺伝の影響は、双子を対象にした研究によって明らかにされてきました。一卵性双生児(遺伝子が100%同じ)と二卵性双生児(遺伝子が約50%同じ)の性格を比較すると、一卵性双生児の方が性格が似やすいことがわかっています。これが、気質への遺伝の影響を示す有力な証拠のひとつです。
環境はどう気質を形作るの?
遺伝と同じくらい大切なのが、環境の影響です。
ここで面白いのが、「共有環境」と「非共有環境」という考え方です。
共有環境とは
同じ家庭で育つ兄弟姉妹が、共通して経験する環境のことです。たとえば、家庭の経済状況、親の育て方の方針、住んでいる地域などがこれにあたります。
非共有環境とは
同じ家庭で育っていても、それぞれが個別に経験する環境のことです。たとえば、通った学校のクラスメートや先生、仲良しの友達、特定の出来事などがこれにあたります。
実は研究では、性格に影響を与える「環境」は、共有環境よりも非共有環境の方が大きいということが明らかになっています。
つまり、同じ親・同じ家庭で育っても、子どもそれぞれが経験することが違うから、性格も違ってくる——これが、「同じように育てたのに、なんでこんなに違うの?!」の答えのひとつなんです。どうでしょう、少し腑に落ちませんか?
「生まれつきの気質」を知ると、育児がラクになる
ここまで読んで、「じゃあ、気質って変えられないの?」と思った方もいるかもしれません。
気質そのものを大きく変えることは難しいです。でも、「この子はこういう気質なんだ」と知ることで、関わり方がガラッと変わります。
たとえば、刺激に敏感でよく泣く赤ちゃんに対して、「なんでこんなによく泣くの?私の育て方が悪いの?」と自分を責めていたとします。でも、「この子は生まれつき感受性が高い気質なんだ」とわかれば、どうでしょう。「この子なりに、世界をいっぱい感じているんだな」と、少しあたたかい目で見られるようになりませんか?
また、自分自身の気質を知ることも大切です。
「私はもともと不安を感じやすい気質なんだ」とわかれば、「なんでこんなに心配性なの、私って弱い人間だ」と自己否定しなくてすみます。気質を知ることは、自分への理解とやさしさにつながるんです。
自分の気質は変えられないの?
「遺伝で決まるなら、もう変えようがないじゃないか…」と思われた方、大丈夫です。
気質そのものは変わりにくいですが、気質との「付き合い方」は変えられます。
たとえば、不安を感じやすい気質の人が、マインドフルネスや認知行動療法を通じて、不安との向き合い方を変えていくことはできます。感受性が高い気質の人が、その感受性を強みとして活かせる環境を選ぶこともできます。
生まれつきの気質は「変えるもの」ではなく、「うまく付き合うもの」。そう捉えてみると、少し気持ちがラクになりませんか?
また、特に感受性の高い方は現代においては「生きづらさ」を感じる場面が多いため、どうしても自分の気質を「弱み」として捉えがちです。ですが、すべての事柄は捉え方によって陰と陽があるように、気質も捉え方次第で、かならず「素敵な一面」があります。
例えば、感受性の高い方はそれだけ気を遣えるということです。また、他人を傷つける一言にアンテナを高く持っているので他人を傷つける一言を避けることができたり、他人が気持ちよく話せる場を作るのにとても高い才能があると、私は感じています。
私自身、もともと感受性が高く、不安を感じやすい気質だと自覚しています。中高生の頃から虚無感や憂鬱感を感じていたのも、今思えばそういった気質が関係していたのかもしれません。でも、カウンセリングや心理学の学びを通じて、その気質と少しずつ仲良くなれてきたと感じています。
例えば、今でも人に言われた一言をすごく気にしたり、不安になったりしますが、さまざまな心理支援や読書を続けるうちに、だんだんとそんな自分との付き合い方が分かってきました。
気質は「弱さ」ではなく、「個性」なんですよね。
まとめ
- 気質は生まれつきの傾向。性格は気質+環境・経験で形成される
- 性格・気質への遺伝の影響はおよそ40〜60%。残りは環境が影響する
- 同じ家庭で育っても性格が違うのは、非共有環境(個別の経験)の影響が大きいから
- 子どもの気質を知ることで、関わり方が変わり、育児がラクになる
- 気質は「変えるもの」ではなく、「うまく付き合うもの」
「この子はなんでこうなの?」「私ってなんでこうなんだろう」と思ったとき、ぜひ今回の記事を思い出してみてください。遺伝と環境の両方が絡み合って、あなたも、お子さんも、今の「その人らしさ」を作っているんです。
今回書いた内容についてもっと深く話してみたい、自分や子どもの気質について一緒に考えてみたいという方は、ぜひカウンセリングをご検討いただけたらと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。













つまり、感受性の高い人は、「傷ついた人にとって温かくて言葉の裏側や微細な表情の変化にも気づき、絶対に傷つく言葉を言わない、相手にとっては最高だと感じる相談相手」になれるという才能だとも捉えることができます。